№37 大野山小さい秋愛でぶらり 　　　

(富士山展望)	（深沢集落）

　早起きで出ることは決めていたが、谷峨辺りなど大野山の麓の写真撮りと。それが市間へ入りこんで山登りとなった。きれいに晴れ上がった秋の好天に富士見をと登って行く。 高杉辺りもまだ静か、丹沢表尾根の山はきれいに見えていた。杉に這う蔦は色づいて。

　高杉の天然枯木を過ぎれば民家数軒の集落、朝まだきに人影無し。 曲がった道の先からコケッコッコーと聞こえ来て懐かしき。 その鶏小屋を過ぎればかやぶき屋根も古しもまだ住んでいる。

　秋桜咲く道端の先は檜林、鬱蒼とした林を登っていけば神明社と何度も拝んだところ。と、犬の散歩の若者二人が下って来た。その後年配のおっさんがと拍子抜け。誰も居ないかと思ったらと挨拶すれば、 笑顔満面にもう上には誰も居ないよと返してくれた。

　静かになった森の中の神明社に拝礼。朝日が差して屋根がまぶしく光っていた。 杉林を一登りで牧場の一角、汗もかかない初秋の気持ち良き晴天だった。と、左手斜面の藪でがさごそ毛物の動く気配、それも大型の。しばらく耳をすましたが直ぐ消えた。 その先道沿い所々土を掘り起こした跡があり、イノシシだったかと。両脇のススキが朝日に映えてキンキラ揺れていた。その先に望みの富士山が見えて嬉しき。

　今回はハイクのつもりはなかったので飲食物は無し、あの展望所でも富士を眺めるだけや寂しき。眼下の深沢も日本昔話のような景だったが。牧場に出て江ノ島を遠望したり西丹沢の山波を眺めて満足した。

　富士山の中腹にもう雲が湧いていた。 牧場の草原では虫の音が盛ん、色んな虫が合唱、目を閉じてしばらく聞き惚れる。と、バッタかキリギリスかあちとこちで音を立てて飛び上がる。その乾いた羽音がまた良し。 人の気に障る雑音はなかった。箱根の山もすっきり、金時山に大涌谷の煙も見えた。右に愛鷹山の相似峰、左手は相模湾で大島も浮かんでいる。

（秋風光る）	（寝転んで力芝）

（藤棚展望所）	（江ノ島見ゆ）

　心残りがあるも午後に用事があったのでそのまま来た道を下った。神明社も人影なく静かな森の中のたたずまい。高杉の集落に出れば犬が吠えて幾分賑やか。 幼子を散歩させている若いお父さんも居た。挨拶を交わしていけば鶏がコケコッコー、我が輩も合わしてコケコケコッコーと愉快に。 すっかり明けた丹沢表尾根を見ながら狭い道を車へ戻った。

　川沿いの広い道まで狭い道をクラクションならしながらだったが通りに出るもう少しのところで対向車、一瞬間を置いて相手が下ってくれた。 済まないと思いつつも通りまで数分間のろのろ。 感謝の挨拶をして山北へと向かう。山北のR246旧道へ出て左斜面に咲く彼岸花愛でて小さな秋の旅は終わりと。

　朝の通勤帯の混雑は終わり西湘R134へ光る海を見ながら。 花水川の新しい橋は完成したが前後の２車線への工事がまだ当分かかりそう。１０時半に帰着。　　　　　　 ＜ページ先頭へ＞